こんにちは、福岡住研究所の川内です。
不動産を購入する際に名義をどうするのかお悩みの方もいらっしゃることだと思います。
夫婦の共有名義にするのか、それとも単独名義にしようか等。
今回は夫婦のお金の管理について考えていきます。
まず、名義とは所有者として記される名前のことと定義されます。お金の所有者はお金を獲得した人ですから、当然、貯蓄の名義もお金を稼いだ人となります。とはいえ、お札や硬貨には名前を書くことはほとんど無いため、生活の知恵として「名義を誰名義にした方がよいのか?」という疑問が出てくる事があるようです。そこで、本日は不動産購入時に押さえておきたい、夫婦間の名義が問題となりそうな、①生活、②離婚、③相続の観点から説明を行いたいと思います。
『生活編』
民法では「夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する」としています。婚姻費用とは簡単にいうと生活費に定義されます。つまり、どちら名義であっても、結果として生活費に使われるお金は、名義にこだわる必要はありません。
※妻名義での貯蓄には2つの種類があり、注意が必要です!
夫の収入で余ったお金を、妻名義の口座に貯蓄する場合には、法律上2つの方法があります。一つは「夫が妻に贈与する」という贈与契約を結び、正真正銘、妻の財産とする場合です。もう一つは妻が夫の代わりに管理するという契約(財産管理委任契約)を結び、管理するために便宜上、妻名義にする方法です。この場合の財産の所有者は夫です。
つまりは貯蓄の所有者が異なるケースにおいて、注意が必要です。
どちらも書面契約が望ましいのですが、法的には口約束でも成立します。日常生活では、夫婦間で改まって契約を結ぶことはないため、これらが暗黙の了解で行われているケースが多いかと思います。
夫婦仲が良いときやお互い健康なときは問題ありませんが、相続や離婚が発生した際には、所有者が異なる事でかなりトラブルようです。妻名義の預貯金が実際に妻のものなのか、妻の名義になっているだけで実は夫の財産なのか、裁判で争うケースもあるようです。
残念ながら、夫よりも収入が少ないパートや専業主婦が「私名義で管理していた貯蓄だから私の財産」と主張しても、通常は通りません。へそくりについては、どんなに工夫して奥様がこっそり貯めても「夫の財産」となります。その理由は「お金を稼いだ人」が夫だからです。
『離婚編』
結婚生活中にできた財産は、離婚時に財産分与として2人で分けるというルールがあります。結婚後に購入したマイホームや車はもちろん、夫婦それぞれの名義の預貯金や保険の解約返戻金なども、すべて2人の財産として計算して折半するという流れがあります。一方で、離婚時に専業主婦が夫名義の財産を半分受け取っても、結婚中に2人で形成した財産ですから贈与税はかかりません。
例外は、各自が独身時に貯めていた貯蓄や親の相続などで受け継いだものは、財産分与の対象には含まれませんので、把握をしておくと離婚時に自分の財産としての主張が通ります。
また、レアケースですが住宅ローン支払い不能となり任意売却に至る場合でさらに離婚をしている場合は売却の際に共有名義者の承諾が必要となります。この場合離婚後も特に揉めていない場合は良いのですが、離婚後に揉めている場合はパートナーの承諾を得ることが出来ずに任意売却できないこととなります。当然、結婚時に離婚を想定している方はほとんどいないですが共有名義のリスクについて頭の隅に置いていただければと思います。
『相続編』
夫婦のいずれかが亡くなった際には、相続問題となる場合があります。仮にご主人が亡くなられた際、それも収入を得ていたのがご主人だけだった場合は、相続問題となる場合があるようです。その理由とは妻名義に移した財産を夫の相続財産として申告する人は少ない為、いわゆる「名義預金」が相続の際の申告漏れとなり、問題になるケースがあるからです。その理由として、その貯蓄を作るのに誰がお金を稼いできたのか?という事が問題となるからです。先程もありましたが、大事なことは預貯金の口座名義ではなく、誰の収入の結果でそのような預貯金になったのかという事が重要だからです。
2015年に相続税がかからない基礎控除が引き下げられ、相続税を納める人は約4%から約8%に増えました。税務調査でも名義預金は大きなチェックポイントとなっているようなので、注意が必要です。
いずれにせよ、不動産購入時には何かとお金について、夫婦間で話されるご家族が多いようです。ぜひ、不動産購入後の事も視野に入れ、お金の事を考えておく必要があるようです。