新しい分譲地を見学に行くと、きれいに整えられた地面に「ここにどんな家を建てようか」とワクワクしますよね。しかし、その足元の「地面」がどうやって作られたかを知っていますか?
見た目が同じようにきれいな土地でも、「切土(きりど)」か「盛土(もりど)」かによって、その後のリスクが大きく変わることがあります。今回は、造成地の種類とチェックポイントをわかりやすく解説します。
1. きれいな造成地に潜むリスク
福岡市内や近郊(宗像・福津・古賀など)でも、山を切り開いた大規模なニュータウンや、もともと田んぼだった場所を埋め立てた分譲地が多く見られます。造成地には大きく分けて2つのパターンがあります。
切土(きりど)は山を削って平らにした土地、盛土(もりど)は谷や低い場所に土を盛って平らにした土地です。不動産のチラシでは同じ「更地」として販売されていますが、地盤の安定度は全く別物。特に盛土の場合は慎重な見極めが必要です。
2. 切土と盛土とは何か

切土(きりど)は「天然の固い地盤」
もともとあった山や傾斜地の土を削り取って平らにした状態です。もとの地盤が長年かけて踏み固められているため、比較的硬く地震や沈下に対して強いのが特徴です。
盛土(もりど)は「人工的なふかふかの土」
谷間や斜面に新しく土を運び入れ、高さを出した状態です。どんなに機械で転圧(踏み固めること)しても、天然の地盤に比べると隙間が多く「柔らかい」のが宿命です。
同じ分譲地でも場所によって全然違う!
大きな分譲地では「A区画は切土だけど、隣のB区画は盛土」ということがよくあります。「このエリアは地盤が強いって聞いたから」と一括りにせず、ピンポイントでその区画がどう作られたかを確認する必要があります。
3. 盛土の土地に潜む3つのリスク

① 地盤沈下・不同沈下
盛土は自重や家の重みで、数年かけてゆっくり沈むことがあります。特に家の左側は切土・右側は盛土という「跨ぎ地盤」だと、家が斜めに傾く「不同沈下」が起きやすくなります。ドアが閉まりにくくなったり、壁に亀裂が入ったりする原因になります。
② 大雨時の崩壊リスク
2022年に静岡県熱海市で発生した大規模な土石流災害を覚えている方も多いでしょう。不適切な盛土が大雨によって崩れ出し、甚大な被害をもたらしました。大雨によって盛土内の水分量が増えると、土が緩んで崩落する危険性が高まります。
③ 液状化リスク
もともと水田や池だった場所を盛土した土地は、地震の際に地下水と砂が混ざり合い、地面が泥水のようになる「液状化」が発生しやすくなります。

4. 造成地の確認方法
古地図・今昔マップの活用
「今昔マップ on the web」というサイトを使えば、現在の地図と明治・大正・昭和初期の地図を左右に並べて比較できます。「ここは昔、谷だったんだな」「ここは池を埋めたんだな」というのが一目でわかります。
赤色立体地図での確認
地面の凹凸を立体的に表現した地図です。人工的に土を盛った部分や削った部分が浮かび上がって見えます。自治体のハザードマップと一緒に公開されていることが多いです。
盛土マップ(国土交通省)
国土交通省の「大規模盛土造成地マップ」では、大規模に谷を埋めた場所や傾斜地に盛土した場所が公開されています。福岡市や周辺自治体のホームページでも閲覧可能です。
5. 対策と判断基準
検討中の土地が「盛土」だったとしても、絶対に買ってはいけないわけではありません。適切な対策をすれば安全に建てることは可能です。
地盤調査の重要性
土地を契約する前、あるいは建築前に必ず「スウェーデン式サウンディング試験」などの地盤調査を行いましょう。数値として「どれくらい耐えられるか(地耐力)」を出してもらうことが安心への第一歩です。
地盤改良の種類と費用
調査の結果、地盤が弱いと判定された場合は地盤改良を行います。コンクリートの柱を地中に作る「柱状改良」(数十万〜150万円程度)、鉄の杭を固い地層まで打ち込む「鋼管杭」、表面の土に固化材を混ぜて固める「表層改良」などがあります。盛土の土地を買う場合は、あらかじめ地盤改良費用として100〜150万円ほど予算を多めに見ておくのが賢明です。
擁壁の確認
高低差がある土地の場合、土を留めている壁(擁壁)も重要です。古い擁壁にひび割れはないか、水抜き穴からきちんと排水されているかを確認しましょう。擁壁の作り替えが必要になると、数百万円単位の追加費用がかかることもあります。
まとめ
地上の建物にはこだわっても、地下の地盤を見落としてしまっては元も子もありません。「この土地、きれいに見えるけど昔は何だったんだろう?」そう思ったときは、今回ご紹介したマップで調べるか、プロに相談してみてください。
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