2026年4月、立地防災アドバイザー(土地の地形・地盤・ハザードリスクを診断する専門資格)を取得しました。
この資格の講座で、考え方の根底からひっくり返るような事実を学びました。今日はその内容を皆さんにそのままお伝えしたいと思います。
「耐震等級3だから安心」は本当ですか?
家を選ぶとき、多くの方が「耐震等級」を気にされます。耐震等級3なら最高ランク。「これで安心」と思うのは当然です。
でも、こんなデータをご存知でしょうか。
関東地震(1923年)での住家全壊率:
・台地・丘陵地:約5%
・谷底低地:約40%
・干拓地・埋立地:80%超
同じ地震なのに、地盤の違いだけで全壊率が16倍も違うのです。
(出典:防災科学技術研究所)
これは建築基準法制定以前のデータですが、防災科研は「地形・地盤条件による差は現在の地震でも同じように現れる」と明記しています。
つまり、どんなに耐震性能の高い建物を建てても、地盤が軟弱であれば意味が薄れるということです。
軟弱地盤では「揺れ」が増幅される

軟弱な地盤には、地震の揺れを増幅させる性質があります。これを数値で表したものが「地盤増幅率」です。
硬い岩盤と軟弱な地盤では、同じ地震でも揺れの大きさが最大2倍以上変わることがあります。震度換算で約1.5も差が出るというデータもあります。
この地盤増幅率は、J-SHIS(防災科学技術研究所のサイト)でピンポイントで確認できます。気になる土地の住所を入れるだけで、その場所の地盤増幅率が数値でわかります。ぜひ一度調べてみてください。
「ハザードマップに色がないから安心」も危険な誤解
もう一つ、多くの方が誤解しているポイントがあります。
「ハザードマップを見たら色がついていなかったから安心」
これは正しくありません。
ハザードマップはあくまで「想定される災害」を示したものです。想定を超える災害は必ず起こります。
特に低地帯は要注意です。周囲より少し低いだけで、大雨の際に水が集まりやすくなります。ハザードマップに色がなくても、地形的に水害リスクがある場所は存在します。
地理院地図の断面図機能を使うと、その土地が周囲より低いかどうかが一目でわかります。「なんとなく平坦に見える」場所でも、断面図にすると極端な低地帯が見えてくることがあります。
水害と地震、決定的な違いとは
水害と地震には、対策上の大きな違いがあります。
水害は台風・大雨の情報が事前にわかります。避難指示も出ます。ある程度「備える時間」があります。
地震は予告なくいきなり来ます。逃げる時間はありません。
だからこそ、地震対策は「来てから対応する」ではなく、「来る前に安全な場所に住む」ことが最大の対策なのです。
地理院地図で「土地の素性」を調べる方法
国土地理院が公開している「地理院地図」では、以下のことが無料で調べられます。
① 自然地形の分類
その土地がもともと台地なのか、低地なのか、扇状地なのかがわかります。
② 人工地形の分類(切土・盛土)
造成地の場合、山を削った「切土」部分と、谷を埋めた「盛土」部分がはっきり色分けされています。同じ造成地の中でも、盛土部分は地盤が弱い傾向があります。
③ 断面図
任意の2点間の標高断面図を表示できます。「この道路に沿って、どれくらい低くなっているか」が視覚的にわかります。

自分の土地を調べる3ステップ
STEP1:地理院地図で地形分類を確認
→台地・丘陵なら比較的安心。低地・埋立地は要注意。
→造成地なら切土・盛土の分類を確認。
STEP2:J-SHISで地盤増幅率を確認
→数値が高いほど揺れやすい地盤。
→ピンポイントで調べられるので、候補地を比較できます。
STEP3:ハザードマップ+断面図で水害リスクを確認
→色がなくても低地帯なら要注意。
→地理院地図の断面図で周囲との高低差を確認。
まとめ:最強の耐震対策は「土地を選ぶこと」

建物の耐震性能は大切です。でも、それ以前に「どの地盤の上に建てるか」が、地震への強さを根本的に決めます。
・地盤増幅率が低い土地を選ぶ
・切土・盛土の状況を確認する
・ハザードマップの「色なし=安全」を鵜呑みにしない
この3点を意識するだけで、土地選びの視点が大きく変わります。
ツールは誰でも使える。でも「判断」はプロの目が必要
地理院地図もJ-SHISも、誰でも無料で使えます。ぜひご自身で調べてみてください。
ただ、データを見て「この数値は高いのか低いのか」「この地形は実際どのくらいのリスクがあるのか」を正確に判断するには、経験と専門知識が必要です。
不動産実務で数百件の土地を見てきた経験と、地理学・立地防災の専門知識を組み合わせることで、「この土地は買っていい」「この土地はやめた方がいい」という判断ができるようになります。
ツールは地図です。でも地図を読み解くのは、人間の目と経験です。
「データを見たけど判断できない」「プロの目で総合的に見てほしい」という方は、土地診断サービスをご活用ください。

