住宅ローン金利タイプ比較表
変動金利・固定金利期間選択型・全期間固定金利の違い
2025年最新情報に基づく比較と選び方のポイント
金利タイプ別 基本比較表
比較項目 | 変動金利型 | 固定金利期間選択型 | 全期間固定金利型 |
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基本的な特徴 | 市場金利に連動して半年ごとに金利が変動。返済額の見直しは5年ごとが一般的。 | 2年、3年、5年、10年など選択した期間は金利が固定。期間終了後は再選択または変動金利へ。 | 借入から完済まで金利が変わらない。フラット35が代表的。 |
金利水準 (2025年6月現在) |
0.6%〜0.7%台 ※最も低い |
1.5%〜2.2%台 ※固定期間が長いほど高め |
1.9%〜2.9%台 ※最も高い |
メリット |
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デメリット |
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特に注意すべき点 |
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向いている人 |
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利用比率 (2021年調査) |
約68.1% | 約20.7% | 約11.2% |
金利タイプ選択の詳細比較
借入金額と借入期間による比較
条件 | 変動金利型 | 固定金利期間選択型 | 全期間固定金利型 |
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借入金額が 少ない場合 (3,000万円以下) |
おすすめ度: ★★★☆☆ 金利が低いため、少額借入の場合は利息負担の違いが小さい。金利上昇リスクの影響も比較的小さい。 |
おすすめ度: ★★★★☆ 一定期間の安定性と比較的低めの金利で、バランスが取れている。少額なら期間終了後のリスクも小さい。 |
おすすめ度: ★★☆☆☆ 金利が高いため少額借入では他のタイプよりコスト高になる可能性。リスク回避のコストが見合わない。 |
借入金額が 多い場合 (5,000万円超) |
おすすめ度: ★★☆☆☆ 金利上昇時のリスクが大きく、返済額の増加幅も大きくなる。経済的余裕がある場合のみ。 |
おすすめ度: ★★★★☆ 大きな金額では一定期間の安定性が重要。ライフプランに合わせた期間選択で安心感を得られる。 |
おすすめ度: ★★★★★ 大きな借入では金利変動リスクを避ける価値が高い。総返済額の確定による安心感が重要。 |
借入期間が 短い場合 (15年以下) |
おすすめ度: ★★★★★ 短期間なら金利上昇リスクの影響期間も短く、低金利のメリットが活かせる。返済負担も短期間のため安心。 |
おすすめ度: ★★★☆☆ 借入期間全体をカバーできる固定期間を選べば安定性は高いが、その分コスト高になる。 |
おすすめ度: ★★☆☆☆ 短期間の借入では高い金利を支払うコストパフォーマンスが悪い。 |
借入期間が 長い場合 (30年以上) |
おすすめ度: ★★☆☆☆ 長期間の金利変動リスクが大きい。未払い利息の膨らみリスクや将来の返済計画の不確実性が高まる。 |
おすすめ度: ★★★★☆ ライフステージに合わせて固定期間を区切ることができるため柔軟性がある。長期的には複数回の選択機会がある。 |
おすすめ度: ★★★★★ 長期にわたって返済額が一定で安心。将来の金利上昇に左右されず計画的な家計管理が可能。 |
金利局面別の選び方
金利局面 | 変動金利型 | 固定金利期間選択型 | 全期間固定金利型 |
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金利上昇局面 |
リスク大 今後の金利上昇による返済負担増加のリスクが高い。できるだけ早く固定化を検討するか、経済的余裕のある人のみ。 |
バランス型 予測される上昇期間をカバーする固定期間を選ぶことで、当面のリスクを回避しつつ、将来の選択肢を確保できる。 |
最適 金利上昇局面では完全固定が有利。現在の金利でローンを固定化することで将来の上昇リスクを完全に排除できる。 |
金利下降局面 |
最適 金利下降局面では変動金利が有利。金利の低下に伴い返済額も減少し、恩恵を最大限受けられる。 |
バランス型 短期間の固定(2〜3年)を選び、下降が続くようであれば期間終了後に再度検討できる柔軟性がある。 |
不利 金利下降局面では全期間固定は不利。今後さらに金利が下がる可能性があるため、現時点での固定化はおすすめしない。 |
金利安定局面 |
有利 金利が安定しているなら、最も金利の低い変動金利が総返済額を抑えられる。ただし将来の変化に注意。 |
最適 安定期には適正なバランスが取れる固定期間選択型が理想的。期間と金利のバランスが取れ、柔軟性も確保できる。 |
安定優先 金利差がある中で完全固定を選ぶのは、リスク回避への対価として高いコストを払う判断になる。 |
金利予測が 困難な時期 |
リスク大 先行きが不透明な時期は変動金利が最もリスクが高い。経済情勢が不安定な時期は避けるべき。 |
最適 不透明な時期には中期(5〜10年)の固定が理想的。一定期間の安定を確保しつつ、将来の選択肢を残せる。 |
安全策 不確実性を嫌う場合は全期間固定が安心。ただし、金利差に見合う価値があるかは個人の判断による。 |
年収別の借入指針と金利タイプ選択
年収水準 | 借入目安 | 返済負担率目安 | おすすめの金利タイプ |
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400万円以下 | 2,000〜2,400万円 (年収の5〜6倍) |
25%以下 |
第1候補:全期間固定金利型 第2候補:固定金利期間選択型(10年以上) ※収入に対して借入比率が高いため、返済額の安定性を重視 |
400〜600万円 | 2,400〜3,600万円 (年収の6倍程度) |
25〜30% |
第1候補:固定金利期間選択型(5〜10年) 第2候補:全期間固定金利型 ※バランスが取れた選択。ライフプランに合わせて固定期間を選択 |
600〜800万円 | 3,600〜5,600万円 (年収の6〜7倍) |
20〜30% |
第1候補:固定金利期間選択型(5年程度) 第2候補:変動金利型 ※やや余裕があれば変動金利も検討可能 |
800万円以上 | 5,600万円〜 (年収の7倍程度) |
20〜25% |
第1候補:変動金利型 第2候補:固定金利期間選択型(短期) ※経済的余裕があれば変動金利の方が有利になることが多い |
※上記は一般的な目安であり、他の借入金や将来のライフイベント、金利動向などによって最適な選択は変わります。
各金利タイプの詳細解説
変動金利型の詳細
基本的な仕組み
変動金利は、市場の短期プライムレートなどに連動して、一般的に半年に1回(4月と10月)見直しが行われます。しかし、実際の返済額は5年間固定され、その間に金利が変わっても返済額は変わりません。これを「5年ルール」と呼びます。
5年ルールと125%ルール
変動金利には2つの重要なルールがあります:
- 5年ルール:金利が見直されても、返済額は5年間変わりません。実際の返済額の見直しは5年ごとです。
- 125%ルール:5年後の返済額見直し時でも、新しい返済額は前回の返済額の125%を超えないというルール。
これらのルールにより、返済額の急激な増加は抑えられますが、金利が上がると返済額に占める利息の割合が増えるため、元金の減りが遅くなり、最終的な返済総額が増えることがあります。また、場合によっては「未払い利息」が発生する可能性もあります。
※重要:金融機関によっては、上記のルールが適用されない場合があります。契約前に必ず確認してください。
メリット詳細
- 最も低金利で借り入れができるため、総返済額を抑えられる可能性が高い
- 金利が下がれば自動的に恩恵を受けられる(ただし、5年ルールにより返済額への反映は遅れる)
- いつでも固定金利タイプへ変更できる柔軟性がある(手数料は金融機関により異なる)
- 繰上返済がしやすく、手数料も安い場合が多い
デメリット詳細
- 金利上昇リスクがあり、長期的な返済計画が立てにくい
- 金利が上がると元金の返済が進みにくくなり、ローン完済が遅れる可能性がある
- 未払い利息が発生した場合、最終的には支払う必要がある
- 金利上昇局面では、固定金利への切り替えタイミングが難しい(固定金利の方が先に上がるため)
適用金利の計算方法
変動金利の適用金利は、基準金利(短期プライムレート)から金融機関ごとの引き下げ幅を差し引いて計算されます。
適用金利 = 基準金利 – 優遇幅
例)基準金利2.475% – 優遇幅1.875% = 適用金利0.6%
優遇幅は金融機関によって異なり、給与振込や取引状況などで拡大することもあります。また、インターネット申込みやスマホ連携サービスの利用で金利が下がる場合もあります。
2025年6月時点の金利相場
2025年6月現在、主要銀行の変動金利の相場は0.6%〜0.7%台となっています。総じてネット銀行の方がメガバンクより低金利の傾向があります。
固定金利期間選択型の詳細
基本的な仕組み
固定金利期間選択型は、借入当初に一定期間(2年、3年、5年、10年、15年、20年など)金利を固定するタイプの住宅ローンです。選択した期間が終了すると、その時点で再度固定期間を選ぶか、変動金利に移行するかを選択できます。
期間による金利差
一般的に、固定期間が長いほど金利は高くなります。例えば、2025年6月現在の相場では:
- 2年固定:1.5%〜1.8%台
- 5年固定:1.6%〜1.9%台
- 10年固定:1.7%〜2.2%台
- 20年固定:1.9%〜2.5%台
金融機関によって金利設定は異なりますが、概ね上記のような傾向があります。
期間終了後の選択肢
固定期間が終了すると、主に以下の選択肢があります:
- 再度固定金利期間を選択する(同じ期間でも、異なる期間でも可)
- 変動金利に移行する
- 他の金融機関に借り換える
期間終了時には、その時点の金利情勢や自身のライフプランを考慮して最適な選択をすることが重要です。
メリット詳細
- 選択した期間は金利が変わらないため、一定期間の返済額が確定し、計画が立てやすい
- 全期間固定金利型より金利が低く、変動金利型より安定性がある
- ライフステージに合わせて最適な固定期間を選べる柔軟性がある
- 住宅ローン控除期間(13年間)に合わせて固定期間を選べる
デメリット詳細
- 変動金利より金利が高く、初期の返済負担が大きい
- 期間終了時に当初と同じ優遇幅が適用されないことが多く、金利が上がる可能性がある
- 固定期間中は金利が下がっても恩恵を受けられない
- 期間終了後の変動金利に5年ルール・125%ルールが適用されない場合がある
- 再度固定金利を選択する際に手数料がかかることがある
選択のポイント
固定金利期間を選ぶ際は、以下の点を考慮すると良いでしょう:
- 将来の大きな支出予定(子どもの教育費など)とのタイミング
- 将来の収入増加見込み(昇進や共働き復帰など)
- 金利動向の予測(上昇傾向なら長めの固定期間、下降傾向なら短めの固定期間)
- 住宅ローン控除との関係(控除期間中は返済負担が軽減される)
全期間固定金利型の詳細
基本的な仕組み
全期間固定金利型は、借入時から完済まで金利が変わらない住宅ローンです。代表的なものとしては住宅金融支援機構の「フラット35」があります。借入時に総返済額が確定するため、長期的な資金計画が立てやすいのが大きな特徴です。
フラット35について
フラット35は、民間金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供している全期間固定金利の住宅ローン商品です。以下の特徴があります:
- 借入期間は15〜35年から選択可能
- 物件の条件(耐震性、省エネ性能など)によって金利が変わる
- 完済までずっと金利と返済額が変わらない
- 団体信用生命保険の加入が必須でない場合がある(別途加入も可)
- 保証料が金利に含まれている(別途保証人は不要)
メリット詳細
- 借入時点で完済までの総返済額が確定し、家計計画が立てやすい
- 金利上昇局面でも返済額が増えないため、家計が安定する
- 将来の金利上昇リスクをゼロにできる
- インフレが進行した場合、実質的な返済負担が軽くなる可能性がある
デメリット詳細
- 3つの金利タイプの中で最も金利が高いため、総返済額も高くなりがち
- 金利下降局面では損をする可能性がある
- 借り換えの判断が難しい(借り換えコストと金利差のバランス)
- 金融機関によっては繰上返済に手数料がかかることがある
- すべての金融機関で取り扱いがあるわけではない
金利相場(2025年6月時点)
2025年6月現在、フラット35の金利相場は以下の通りです:
- 返済期間15〜20年:1.83%〜2.34%
- 返済期間21〜35年:1.89%〜2.91%
一般の銀行が提供する全期間固定金利型も、概ねこの水準に近い金利設定となっています。
向いている人の特徴
全期間固定金利型は、以下のような方に特に向いています:
- 金利の変動に不安を感じる方
- 長期的な家計計画を確実に立てたい方
- 借入期間が長期(30年以上)の方
- 借入金額が多く、金利上昇リスクを避けたい方
- 子育て世代など、将来の教育費など大きな支出が予想される方
- 収入に対してローン比率が高い方
金利タイプ選択の重要なポイント
① ライフプランとの整合性
子どもの教育、マイカー購入、親の介護など、将来の大きな支出計画を考慮して、その時期に返済負担が増えないような金利タイプを選びましょう。
② 収入に対する借入比率
返済負担率(年収に対する年間返済額の割合)は25%以下が安全とされています。借入比率が高い場合は、返済額の安定性を重視した金利タイプを選ぶべきです。
③ 金利動向の見通し
現在の金利が歴史的に見て高いか低いか、今後の金利動向はどうなりそうかを考慮しましょう。上昇局面なら固定タイプ、下降局面なら変動タイプが有利になる傾向があります。
④ リスク許容度
金利上昇リスクをどの程度許容できるかは、個人のリスク許容度によります。金融市場の変動に敏感で不安を感じやすい方は、安定性を重視した選択が望ましいでしょう。
⑤ 借り換えの可能性
将来の借り換えの可能性も考慮しましょう。借り換えには諸費用がかかるため、短期間で借り換える予定がある場合は変動金利の方が有利な場合があります。
まとめ
住宅ローンの金利タイプ選択は、単に現時点での金利の高低だけでなく、ライフプラン、収入状況、金利動向、リスク許容度など多角的な視点から判断することが重要です。また、状況に応じて途中で金利タイプを変更したり、借り換えたりするという選択肢も視野に入れておくと良いでしょう。
どの金利タイプが最適かは一人ひとりのライフスタイルや価値観によって異なります。複数の金融機関で相談し、自分に最適な住宅ローンを選びましょう。