その造成地は大丈夫か — 土地を見る日の3つの確認

画像はイメージです

結論から書きます。

造成地は、一律に避ける対象ではありません。「どこが盛土か」を知らないまま買うのが問題です。

そして、その区分は現地に行く前に、地図である程度まで見られます。 分かる範囲と分からない範囲があるので、そこも含めて書きます。

以下、私が実際に土地を見るときにやっている3つを、そのまま書きます。

目次

確認1:削った側か、盛った側か

宅地として整えられた土地は、元の山を削った場所(切土)と、谷を埋めた場所(盛土)が混ざっています。

同じ団地でも、区画によって違います。造成から年数が経つと植生も揃い、見た目では分からなくなります。

だから地図を先に見ます。国土地理院の「地理院地図」では、自然地形(台地・低地・旧河道など)や人工地形(盛土・切土など)の分類を重ねて表示できます。

地理院地図の地形分類には、「自然地形」と「人工地形」の2つがあります。

  • 自然地形:ズーム5〜8で全国の大分類、9〜13で中分類、14〜16で詳細版(主要な平野部)
  • 人工地形:ズーム14〜16で「切土地」「盛土地」など

地形の上をクリックすると、地形分類の名前と、その成り立ち・災害リスクがポップアップで出ます。 色を見分ける必要はありません。クリックして名前を読む——これが一番早い使い方です。

宗像でも表示されます。まずズーム14以上に拡大してください。 ただし表示される内容は調査時点のもので、最新の状況と違う場合があります。

ここで押さえておきたいのは、この分類は「危険度」を示すものではないということです。その土地がどう作られたかの記録です。危険かどうかは、次の2つで見ます。

大規模盛土造成地マップの、正しい読み方

国交省の「重ねるハザードマップ」には、大規模盛土造成地の情報が入っています。「すべての情報から選択」→「土地の特徴・成り立ち」→「大規模盛土造成地」で表示されます。福岡県も県版のマップを公表しています。

このマップは、造成前と造成後の地形図を重ね、その標高差から盛土造成地を抽出したものです。国交省は「マップに示す箇所が全て地震時に危険というわけではない」と明記しています。

つまり、読み間違いが2方向に起きます。

読み間違い起きること
色が付いているから買わない候補から外す必要のない土地を捨てる
色が付いていないから安心盛土でも規模が小さければ載らない。古い地形図の精度などで、すべては拾えていない

このマップは「判定」ではなく「見に行く順番」を決める道具です。色が付いていたら、次を丁寧にやる。それだけです。

確認2:周囲との高低差を、線で見る

地理院地図には断面図の機能があります。地図上に線を引くと、その線上の高低差がグラフになります。

ここで正確にしておきたいのは、断面図で分かるのは「今の高さの関係」だけだということです。盛土か切土かは、断面図だけでは分かりません。 それは昔の地形図や航空写真と見比べて確かめます。

そのうえで、断面図では2点を見ます。

  1. 土地の内部が平らか(=造成でならした範囲の手がかりになる)
  2. 土地の外へ出たときに、下がるか、上がるか

上がるなら、その土地は周囲より低い場所です。水が集まりやすい側の手がかりになります。

逆に、外へ出て下がる場合は、その土地が高い側ということです。ただし谷を埋めた盛土では、横方向では外へ出ると上がります。だから「下がる=盛土」とは言えません。盛土の形は2種類ある(谷を埋めたもの、傾斜地に腹付けしたもの)と覚えておくと、読み違えが減ります。

土地の中にいると、自分が高いのか低いのかは分かりにくいものです。だから断面図を先に見ます。

確認3:水の出口を見る

造成地で一番見落とされるのが、これです。削ったか盛ったかより、水がどこへ出るか。

盛土は、水に弱い。だから造成地では、雨水をどう逃がすかが設計されています。問題は、その設計が今も生きているかどうかです。

地図で見る

  • 土地の周りに、川・水路・ため池がないか(氾濫と、決壊の両方を見る)
  • 土地が、周囲より低い場所にないか(水は低いところに集まります)
  • 昔の川筋(旧河道)が通っていないか(地形分類で確認できます)

現地で見る

  1. 土地の一番低いところに、排水の出口があるか 出口が無い、あるいは塞がれている土地は、水が抜けません。
  2. 隣地との境に、水路の跡が残っていないか コンクリートのU字溝の名残があれば、そこは元々、水の通り道だった可能性があります。
  3. 法尻(のりじり)に、水が染み出した跡がないか 擁壁の下、斜面の下。苔・変色・水垢は、水が出ているサインです。
  4. 造成時の許可書や検査済証があるか、売主に確認する 書類で確認できるものは、現地で判断しないで済ませる。

一番確実なのは、雨の日に行くこと

大雨の翌日に現地を見ると、水の痕跡が残っています。晴れた日に見ても、水の出口は分かりません。候補が2つに絞れたら、わざと雨の日を選ぶ。これが一番効きます。

気になっている土地の住所を、送ってください。

安全かどうかの判断ではありません。確認する点の整理として、①地図→②断面図→③現地の順番でお返しします。

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順番を変えると、判断が変わる

まとめると、順番はこれです。

①地図(切土・盛土)→②断面図(高低差)→③現地(水の出口)

逆にすると、現地で「きれいだな」「日当たりがいいな」で終わります。それは感想で、判断ではありません。

内見のあとに地図を見ると、もう手遅れに近い。気に入った土地の欠点を、人は見つけたくないからです。先に見るから、冷静でいられます。

盛土規制法は、既存の盛土にも関わる

ここは混同されやすいので、分けて書きます。

宅地造成等規制法が改正され、盛土規制法(宅地造成及び特定盛土等規制法)が2023年5月26日に施行されました(公布は令和4年5月27日)。盛土等を行う土地の用途や目的にかかわらず、危険な盛土等を全国一律の基準で包括的に規制する法律です。

規制の効力は、都道府県などが指定する規制区域で生じます。

そして、ここが重要です。規制区域内では、区域の指定前に行われた盛土も対象になります。 土地の所有者・管理者・占有者には常時安全な状態に維持する義務があり(法第22条)、必要があると認めるときは、知事が勧告や改善命令を行う仕組みがあります(同第23条)。

つまり、「新しく造成する人だけのルール」ではありません。 既存の盛土も、規制区域に入っていれば保全の対象です。

ただし、この法律ができたからといって、すでにある造成地が安全になるわけではありません。 実際に安全かどうかは、大規模盛土造成地マップ、自治体の調査、そして現地で見ます。

法律があることと、その土地が安全であることは、別の話です。

宗像での使い方

宗像の住宅地は、元は山だった場所を削って整えたところが多くあります。

国土数値情報の大規模盛土造成地データ(2023年版)では、宗像市内に273の区域が登録されています。決して少なくありません。

だから「造成地かどうか」で絞ると、候補はかなり絞られます。絞るべきは「切土か、盛土か」です。

同じ校区、同じ駅距離でも、区画によって切土と盛土があります。

校区で選び、区画で確かめる。 この順番です。逆にはしません。

土地を見に行く前に、地図を1枚だけ開いてください。

それだけで、見るべき場所が変わります。見方が分からないときは、住所を送っていただければ同じ順番でお返しします。

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出典

免責

本記事は、公開時点で公表されている制度・公的資料に基づく一般的な情報提供です。個別の土地の安全性・地盤の良否を保証するものではなく、また、地図の表示をもって危険と断定するものでもありません。実際の土地については、必要に応じて地盤調査・自治体への確認を行ってください。

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