こんにちは、福岡住研究所の川内です。
今回は不動産の資産価値について考えていきます。
人口減少が公共交通機関に与える影響
現在、日本は人口減少社会を迎えています。
例えばJRの赤字ローカル線は利用者の減少に伴いに廃線を検討している路線も増えてきています。
JR西日本は4月に利用者の少ない赤字路線と赤字額を初めて公表し、JR東日本も近く初公表に踏み切るようです。
コロナ禍でJRの旅客6社は九州を除く5社が赤字だったようです。
JR九州は不動産事業が好調で鉄道事業を支える形となっていますが、香椎線の無人駅化や鹿児島本線のダイヤ改悪等経費削減は行っており皆様にも影響が出ていると思います。
地域の公共交通を維持するため、自治体にはこれまでのJR依存からの脱却が求められており、赤字路線で廃線の可能性がある付近にお住いの方の不動産の資産価値に大きな影響を与えかねません。
福岡県内で考えると、新しいものでは西鉄の宮地岳線の古賀ゴルフ場前から津屋崎が廃線になっています。
過去には国鉄時代に吉塚から宇美町の筑前勝田を結んだ勝田線が廃止になっています(今あれば黒字路線間違いなし)
立地適正化計画とは
話は変わりますが、皆様は「立地適正化計画」をご存知でしょうか?
国土交通省は「立地適正化計画」を通じて、コンパクトなまちづくりを目指しています。
その目的は、人口の急激な減少と高齢化を背景として、高齢者や子育て世代にとって、安心できる健康で快適な生活環境を実現すること、
財政面及び経済面において持続可能な都市経営を可能とすることが大きな課題となっている為、医療・福祉施設、商業施設や住居等がまとまって立地し、高齢者をはじめとする住民が公共交通によりこれらの生活利便施設等にアクセスできるなど、
福祉や交通なども含めて都市全体の構造を見直し、『コンパクト・プラス・ネットワーク』の考えで進めていくことを目指しています。
(国土交通省「立地適正化計画」)
難しいことを言っていますが、要約すると都市部に人口を集中させようと言うことです。(過疎化が進むと思われます)
それにともない、教育、医療、商業施設を一定の範囲内に凝縮して自治体の財政支出を削減し公共交通機関も広範囲ではなく限定的になり結果赤字路線がなくなる事を想定しています。
ローカル路線の現状
野村総合研究所が2月、ローカル線の沿線住民・約1万人を対象に実施した調査では、鉄道を「ほぼ利用しない」との回答が75%に達した一方、「いまの公共交通は維持していくべき」も7割だったようです。
日常的に利用が乏しい路線を残せるのか?各地の自治体は危機感を募らせているようです。
また、観光を軸に生き残るという考え方もあり、複数の駅間を20時間続けて行ったり来たりし続ける特別列車や、高級フレンチなどが食べられるリゾート列車は2万円近い料金でも毎回、即完売するという盛況ぶりのようなので、そのような路線は顧客から求められる路線になるのかもしれません。
JR九州は「ななつ星」を筆頭に魅力的な列車とサービスで顧客獲得に努力していると思います、水戸岡鋭治デザインの列車をいち早く取り入れる等チャレンジ精神も素晴らしいと思います。
更に、今秋長崎新幹線が開通しました。この長崎新幹線は在来線で言うと佐世保線のルートを走ることとなります、そのため今まで長崎まで特急列車が走っていた長崎線は本数削減や電化から非電化へと変わってしまいました。
その結果、長崎線沿線の不動産資産価値に影響を及ぼすことになるでしょう。
公共交通機関の将来と不動産購入時の注意点
現在、整備や維持に多額の費用を要する鉄路ではなく、BRT(バス高速輸送システム)で交通手段の維持を優先する地域も増えているようです。
東日本大震災の津波で一部の線路が流失した大船渡線と気仙沼線の一部はBRTに置き換わり、2017年の豪雨で被災した日田彦山線でも2023年の運行開始に向け、BRTの専用道建設が進んでいるようです。
このような赤字路線の廃線議論が高まっている事は不動産との兼ね合いも必ずあり、不動産の資産価値で評価出来ないようなものも増えている事を認識すべきです。
現在はコロナ禍でテレワークが普及し、出勤する日数も減っている企業が多いと思います。
これを機に地方移住を検討される方も居るようですが、このような赤字路線の廃線議論と人口集中政策によって見捨てざるを負えなくなる街が今後増える事を考えていただきたいと思います。
ぜひ、これから不動産購入をされる方は「資産価値を意識した不動産」をご検討いただきたいと思います。
今後の参考にお役立て下さい。