第1回では西郷川の基本情報と流域の地形を、第2回では浸水履歴と地形の関係について解説しました。今回は実戦編として「家を買う前に必ず確認すべき5つのチェックポイント」を具体的にお伝えします。
チェックポイント①:洪水ハザードマップの確認
まず最初に行うべきは、自治体が公開している「洪水ハザードマップ」の徹底的な確認です。
西郷川・本木川・大内川の3河川をチェック
西郷川流域には支流である本木川や大内川が流れ込んでいます。自分の検討している土地がどの川の影響を受けやすいのか、複数の河川の影響を併せて確認することが不可欠です。
「L2想定」を見るのがプロの鉄則
ハザードマップには大きく分けて2つの想定があります。L1(計画規模)は100年に1度程度の雨、L2(想定最大規模)は1000年に1度程度の雨です。
昨今の異常気象を考慮すると、L1だけでは不十分です。必ずL2想定での「浸水深」と「浸水継続時間」を確認してください。1階が完全に浸水するような想定であれば、基礎を高くするや2階リビングにするなどの建築的な工夫が必要になります。
チェックポイント②:内水ハザードマップの確認
「川から離れているから大丈夫」という考えは現代の都市型水害においては通用しません。そこで重要になるのが「内水ハザードマップ」です。
福間駅周辺の特性
特に福間駅周辺などの市街地は、アスファルト舗装が多く雨水が地中に浸透しにくいエリアです。短時間に猛烈な雨が降ると下水道や側溝の排水能力を超え、道路や建物が冠水する「内水氾濫」が発生しやすくなります。
洪水マップに色がなくても要注意
川の氾濫(外水)マップでは色がついていなくても、内水マップでは浸水想定がある場所は珍しくありません。「水がはけにくい場所ではないか」という視点を必ず持ちましょう。

チェックポイント③:標高の確認
水は高いところから低いところへ流れます。これは防災の基本中の基本です。
目安となる数値
・標高5m以下:要注意。周囲より低いケースが多く浸水リスクが顕著になります
・標高10m以上:比較的安全。水害リスクは大幅に低減します
国土地理院地図の活用
「地理院地図」でピンポイントの標高を確認できます。物件資料にある数値だけでなく、自分自身で周辺との高低差を確認することが納得感のある土地選びに繋がります。
チェックポイント④:土地の履歴を調べる
現在の街並みがどれほどきれいでも、土地には「かつての姿」があります。その履歴が防災上の大きなヒントになります。
旧河道と低地地名
かつて川が流れていた場所(旧河道)や水田として利用されていた土地は、地盤が軟弱であったり周囲よりわずかに低くなっていたりします。地名に「谷・田・沼・池」などがつく場所も、かつての湿地帯であった可能性が高いといえます。
「今昔マップ」での確認
「今昔マップ」というサービスを使えば、明治期から現代までの地図を並べて比較できます。「ここは昔、大きな池だったんだな」「西郷川の蛇行部分だったんだな」という事実を知ることで、地盤補強の必要性や冠水の可能性を予測できます。
チェックポイント⑤:現地での排水・高低差確認

データを確認した後は、必ず自分の足で現地を歩きましょう。
道路より低い土地は避けたい
現地でまず見るべきは道路と敷地の高低差です。道路より低い土地は大雨の際に周辺の雨水が流れ込んでくる「すり鉢」のような状態になります。
構造物をチェックする
・側溝:落ち葉や泥が詰まっていないか・排水能力は十分か
・擁壁(ようへき):水抜きの穴が機能しているか
・基礎の高さ:近隣の新しい家が基礎を高く作っているなら浸水対策のサインかもしれません
最高の見学タイミングは「雨上がり」
晴れた日の見学だけでは水の流れは見えません。可能であれば雨の日や雨が上がった直後に現地へ行ってみてください。「どこに水が溜まっているか」「側溝から水が溢れそうになっていないか」を直接確認するのが最も確実な判断材料になります。
エリア別まとめ
上流(畦町・丘陵エリア)
浸水リスクは比較的低いですが、斜面地が近いため土砂災害警戒区域に指定されている場所があります。水害だけでなく「山」のリスク確認が重要です。
中流(福間駅周辺エリア)
利便性は高いものの内水リスクが最も高いエリアです。排水計画がしっかりなされているか、周辺より低くなっていないかを重点的に確認してください。
下流(西福間・花見が浜エリア)
川の氾濫・内水・高潮などが重なる複合リスクが存在します。標高が非常に低いため、ハザードマップの想定浸水深をシビアにチェックする必要があります。
FUSUMALAB.の土地診断サービス
「自分一人でここまで調べるのは不安…」と感じられた方も多いのではないでしょうか。
FUSUMALAB.では単なる物件紹介に留まらない「土地診断サービス」を提供しています。
・地理学の知見に基づいた地形分析
・古地図や地質データを用いた地盤予測
・ハザードマップの深掘り解説
・法政大学地理学科在学中の代表が対応
大きな買い物だからこそ、買主側専門の不動産アドバイザーによるサポートをご活用ください。
まとめ
西郷川流域で家を建てる・買うということは、豊かな自然と共生するということでもあります。リスクを過度に恐れる必要はありませんが「知らずに買うこと」だけは避けなければなりません。
①洪水ハザードマップ(L2)
②内水ハザードマップ
③標高の数値
④土地の履歴
⑤現地の排水状況
この5項目を確認するだけでも、住宅選びの安全性は劇的に向上します。
【免責事項】
本記事に含まれる情報は各自治体が公開しているハザードマップおよび公的な地形データを基に作成されていますが、将来の災害発生を完全に予測したり浸水を防いだりすることを保証するものではありません。実際の土地購入・建築にあたっては必ず最新の公的情報を確認し、専門家による現地調査や判断を仰いでください。
「この土地、ハザードマップではどうなっていますか?」といった些細な疑問でも構いません。
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