※本記事は2026年9月時点の情報です。制度は改正されることがあるため、必ず最新の法務省・官公庁の情報をご確認ください。
結論: 親の相続でまだ登記をしていないなら、今年中に動き始めるべきです
「相続登記の義務化」は2024年4月に対象になる人が一気に増えた、身近な話です。なかでも注意が必要なのは、2024年4月より前に相続した不動産。このケースには経過措置の期限があり、2027年3月31日までに登記が必要です。記事執筆時点(2026年9月)で、残りは約6ヶ月です。
「まだ名義を変えていなくても、固定資産税は払っているから大丈夫」——この考えは、もっとも多い誤解です。固定資産税の納付と相続登記は別の話で、登記が済んでいないまま放置すると、以下のようなリスクが雪だるま式に大きくなります。
そもそも相続登記とは何か
相続登記とは、亡くなった方から相続人へ、土地・建物の名義を変更する手続きです。
かつては任意の手続きだったため、全国で登記がされないまま放置される土地が増えました。登記簿を見ても所有者が分からない「所有者不明土地」の増加は、周辺環境の悪化だけでなく、民間取引や公共事業の阻害にもつながる社会問題です。この問題を解決するため、令和3年に法律が改正され、令和6年(2024年)4月1日から相続登記が義務化されました(法務省Q&Aより)。
過去の相続分も対象になる——「もう時効」はありません
義務化の対象は、2024年4月以降の相続だけではありません。基準になるのは「相続が起きた日」ではなく「相続で不動産を取得したことを知った日」です(以下、やや簡略化して説明します)。
- 2024年4月1日以降に相続で不動産を取得したことを知った場合: 知った日から3年以内
- 2024年4月1日より前に相続した不動産で、まだ登記していない場合: 2027年3月31日まで(経過措置)
つまり「10年前に親が亡くなった」「相続したのは祖父の頃」というケースでも、まだ登記が終わっていなければ義務の対象になります。過去の相続だからといって免除されるわけではない、という点は多くの人が誤解している部分です。
また、相続人どうしの遺産分割協議を経て不動産を取得した場合は、遺産分割が成立した日から3年以内に、その内容に応じた登記をする必要があります。
期限を過ぎるとどうなるか——数字だけでなく「実際の不利益」が大きい
① 過料(10万円以下)の対象になり得る
正当な理由なく期限までに登記をしなかった場合、10万円以下の過料の対象になります(法務省Q&A)。
「過料(かりょう)」とは、裁判所が科す金銭的な制裁のことです(「罰金」とは別の制度です)。実際の流れは、法務局から「登記の催告」が届き、それでも対応しない場合に裁判所へ通知され、裁判所が過料を科すかどうかを判断します。すぐに全員が罰せられるわけではありませんが、「登記をするまで法務局が関与し続ける」という構造である点を理解しておいてください。
なお、過料が出るかどうか以前に、次の②〜④の現実的な問題のほうが、多くの人にとって深刻です。
② 売却できない
登記名義が亡くなった親のままでは、原則として売買契約を結ぶことができません。相続登記が済んで初めて「自分が所有者」として売却の話を進められます。
③ 担保に入らない・住宅ローンを借りられない
銀行で担保価値のある不動産として扱うには、名義が自分になっている必要があります。登記していない不動産は、いざという時の資金調達に使えません。
④ 次の相続が複雑になる
登記をしないまま次の世代に相続が起きると、相続人が増えて「共有状態」(複数の相続人が一つの不動産を共同で所有している状態)がさらに複雑になります。書類収集も手間になり、問題を先送りするほど解決コストが上がります。

「期限内に終わらせるのが難しい」場合は相続人申告登記がある
遺産分割協議がまとまらない、相続人が非常に多い——そんな理由で期限内の完済が難しい場合、「相続人申告登記」という制度があります。これは「自分は相続人である」と法務局に申し出ることで、申し出た本人の相続登記義務を果たしたことになる制度です(2024年4月開始)。
なお、申し出は一人の相続人が単独で行うことができ、他の相続人の分も含めて代理で申し出ることも可能です(法務省公式ページより)。「遺産分割はまだだけど、まずは義務だけ果たしておきたい」という場合のセーフティネットとして活用できます。
まずはこの申告登記で義務をクリアしつつ、並行して遺産分割協議・最終的な登記を進める、という二段構えが現実的です。
あなたが該当するか、3ステップで確認してみてください
- 親など親族が亡くなった後、土地や建物の名義変更(相続登記)をしたか? → していなければステップ2
- それはいつ相続したか? → 2024年4月より前なら、期限は2027年3月31日
- 遺産分割協議をしたか? → した場合、成立から3年以内の登記が必要
1つでも引っかかったら、まずは早めの着手をおすすめします。手続きには戸籍謄本の収集や遺産分割協議など書類面の準備があり、期限が近づくほど法務局の窓口や専門家の予約が混み合います。

実は「登記が済んでいる人」も要チェック——2026年4月から住所変更登記も義務化
2026年4月1日から、不動産の所有者は住所や氏名を変更した場合、2年以内にその変更登記をすることも義務化されています(5万円以下の過料の対象になり得ます)。引っ越し後に登記上の住所を更新していない方は、これも併せて確認しておきましょう。
なお、2026年4月より前に引っ越した方で、登記上の住所をそのままにしている方も義務化の対象です。その場合の猶予期限は2028年3月31日です。
まずは「亡くなった親名義の不動産が全国に何件あるか」を一覧で確認できる制度もあります
「親がどこに不動産を持っていたか、把握しきれていない」という場合に役立つのが、所有不動産記録証明制度(2026年2月開始)です。法務局に請求すると、被相続人(亡くなった方)名義になっている不動産を一覧化した証明書を受け取れます(1通あたり1,600円、窓口またはオンラインで請求可)。相続財産の「棚卸し」の第一歩として、併せて知っておくと安心です。
まずは無料相談で、自分が該当するのか確認しませんか?
「相続登記の期限」は、ケースごとに必要な書類やスケジュールが異なります。不動産・相続に強い専門家に現状を整理してもらうのが、最短で確実な進め方です。
当事務所では、相続登記の期限チェックをはじめ、相続不動産の売却・活用、土地診断まで、無料でご相談をお受けしています。
- オンラインでの相談も可能(所要30分程度)
- 相談後に結果を送付するだけで、ご契約を急かすことはありません
- まずは「自分が期限の対象かどうか」だけの確認でも歓迎です
→ 無料相談のお申し込みはこちら(相談フォームへのリンク)
出典(本記事の事実確認に使用した情報源)
- 法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」: https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00565.html
- 法務省「相続人申告登記について」: https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00602.html
- 政府広報オンライン「不動産の相続登記義務化!」(2025年12月掲載): https://www.gov-online.go.jp/article/202512/entry-10431.html
- 法務省「相続登記の申請義務化特設ページ」: https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00590.html
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法律相談を代替するものではありません。ご自身の状況については、法務局・司法書士などの専門家にご確認ください。

