川内です。
今回は西日本レインズ(西日本不動産流通機構)の2026年7月データをもとに、福岡県の不動産市場で今何が起きているのかを解説します。公開されているデータですが、実際に目を通している一般の方はほとんどいません。ぜひ参考にしてください。
西日本レインズとは
西日本レインズ(公益社団法人西日本不動産流通機構)は、国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構です。福岡・佐賀・長崎・熊本など九州・中国・四国の17県を管轄し、不動産業者間の物件情報を共有するシステム「レインズ」を運営しています。
このレインズに登録された実際の成約データ(売買が成立した物件の価格・面積・築年数など)を集計したものが「市況動向データ」です。ポータルサイトの「売出価格」ではなく、実際に売れた価格のデータです。
2026年7月 福岡県の成約データ
| 種別 | 成約件数 | 前年比 | 成約価格 | 前年比 |
|---|---|---|---|---|
| 中古戸建住宅 | 178件 | +4.9% | 2,311万円 | -4.2% |
| 中古マンション | 306件 | -4.6% | 3,001万円 | +10.9% |
| 土地 | 151件 | -19.3% | 2,121万円 | -4.3% |
戸建て・土地は下落、マンションだけが上昇——二極化が鮮明に
最も注目すべきは「種別ごとの価格動向が真逆」という点です。
中古戸建住宅の成約価格は前年比-4.2%と3ヶ月連続で下落しています。土地も前年比-4.3%と下落傾向。一方、中古マンションの成約価格は前年比+10.9%と16ヶ月連続で上昇を続けています。
同じ「不動産」でも、戸建て・土地とマンションでは全く異なる動きをしているのです。
なぜ二極化が起きているのか
マンションが上昇し続ける理由:福岡市中心部への人口集中・利便性重視の需要が続いています。福岡市のマンション成約価格は3,588万円(前年比+10.9%)と特に高く、都市部への需要が価格を押し上げています。
戸建て・土地が下落する理由:金利上昇により住宅ローンの返済負担が増加し、高額な戸建て・土地への需要が鈍化しています。また資材高騰による新築価格の上昇が中古戸建ての相対的な割安感を打ち消しています。

売主の方へ——戸建てを売るなら早めの判断を
中古戸建住宅の成約価格が3ヶ月連続で下落しているという事実は、売主にとって重要なシグナルです。
不動産の売却では「最初の売出価格」と「最終的な成約価格」の乖離が大きくなるほど、売主にとって不利になります。価格が下落トレンドにある局面では、早めに適正価格で売り出すことが重要です。
「もう少し待てば上がるかもしれない」という判断が、最終的に大きな損失につながるケースを現場で多く見てきました。

買主の方へ——戸建ては値ごろ感が出てきた
マンション価格が16ヶ月連続で上昇し続ける中、中古戸建住宅は価格が下落しています。予算が限られている方や、広い土地・建物面積を求める方にとって、中古戸建ては相対的に狙い目の局面です。
ただし購入前には必ず地盤・ハザードマップの確認を。価格だけで判断すると、後から地盤リスクや浸水リスクが判明するケースがあります。

プロの本音
「福岡の不動産は上がり続ける」という声をよく聞きますが、データを見ると実態は種別によって全く異なります。マンションは確かに上昇していますが、戸建て・土地はむしろ下落局面に入っています。
漠然と「不動産は上がっている」という感覚で売却や購入のタイミングを判断するのは危険です。種別・エリアごとのデータを正確に把握した上で判断することが重要です。
執筆者:川内秀敏(宅地建物取引士・FP2級・GIS土地診断・業界歴25年以上)/福岡住研究所(FUSUMALAB)

