手取りを増やすってどういうこと?年収の壁をマクロとミクロの視点でやさしく解説【経済学シリーズ第3回】

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「毎日一生懸命働いているのに、なぜか手取りが増えた実感がわかない……」

そんなふうに感じて、ため息をついたことはありませんか?

パートで働く時間をもっと増やそうか迷っているけれど、SNSで流れてくる「年収の壁」という言葉が気になって、なんとなくブレーキをかけてしまう。そんなモヤモヤを抱えている方は、意外と多いんです。

実は、「年収の壁」という仕組みは、私たちの働き方や家計の未来を大きく左右する大切なポイント。でも、情報が多すぎて「結局、自分はどうすればいいの?」と迷ってしまうのも無理はありません。

私自身、不動産業界で25年、そしてFP(お金の専門家)として多くの方の家計を見てきましたが、この「手取りと年収の壁」の仕組みで悩んでいる方は、本当にたくさんいらっしゃいます。

この連載では第1回でミクロ経済学の基本を、第2回で「家計と国家の違い」をお話ししてきました。第3回の今回は、いよいよ「手取り」という、最も身近なテーマに踏み込みます。

今日は、難しいルールのお話というよりも、あなたの毎日の頑張りがしっかり「手元に残る」ためのヒントを一緒に整理していきましょう。


目次

そもそも「手取り」って何が引かれているの?

まず最初に、私たちの「お給料」の仕組みを少しだけ確認しましょう。

毎月のお給料明細を見て、「額面(がくめん:税金や保険料が引かれる前の給与)」と「手取り(実際に受け取れる給与)」の違いに驚いたことはありませんか?

「額面」から引かれている主なものは、以下の5つです。

  • 所得税(しょとくぜい): 1年間の収入に対してかかる国の税金のこと。
  • 住民税(じゅうみんぜい): 今住んでいる地域(市区町村)に納める税金のこと。
  • 健康保険料(けんこうほけんりょう): 病気やケガをした時に、治療費の負担を軽くするために備えるお金のこと。
  • 厚生年金保険料(こうせいねんきんほけんりょう): 将来、老後に受け取る年金のために、今のうちから積み立てるお金のこと。
  • 雇用保険料(こようほけんりょう): もし仕事を辞めたり、失業したりした時に備えて、生活を支えるためのお金のこと。

「知らないうちに、こんなにいろいろ引かれていたんだ!」と驚かれる方も多いのですが、これらは私たちが安心して生活するための大切な備えでもあります。ただ、働き方や年収によって、この「引かれるルール」が変わってしまうのが、いわゆる「年収の壁」の正体なのです。


「年収の壁」とは何か?(マクロ=国のルールの視点)

「年収の壁」とは、働く人の年収が一定のラインを超えると、税金や社会保険料などの負担が変わり、結果として「手取り」が減ってしまったり、逆に増えにくくなったりする境界線のことを言います。

実はこの「壁」、2025年〜2026年にかけて大きく変わりました。代表的な壁を最新の状況で整理してみましょう。

160万円の壁(2025年〜)・178万円の壁(2026年〜)

以前は「103万円を超えると所得税がかかる」と言われていましたが、2025年の税制改正でこのラインが大幅に引き上げられました。

  • 2025年: 所得税がかかり始めるラインが160万円に引き上げ
  • 2026年: さらに178万円まで引き上げ

つまり、年収が178万円以下であれば、所得税はかからないという状況になっています。これは、長年「103万円の壁」と言われてきたものが大きく変わった、非常に重要な改正です。

ただし注意が必要なのは、この引き上げは所得税(国の税金)の話だけということです。配偶者控除などの扶養の仕組みは別途確認が必要です。

※なお、この引き上げは高所得の方(合計所得が一定額を超える場合)には
適用されない・または恩恵が限定的になる所得制限があります。
主にパートや中低所得の給与所得者にメリットが大きい制度です。

106万円の壁(2026年10月に撤廃予定)

これまで従業員51人以上の会社で働く方が年収106万円を超えると、社会保険への加入義務が発生していました。しかし、2026年10月をめどにこの106万円という基準が撤廃される予定です。

撤廃後は、勤務時間などの条件を満たせば社会保険への加入が求められるようになるため、今後の動向に注意が必要です。

130万円の壁(現行のまま)

配偶者の「扶養(ふよう:配偶者や家族の収入が一定以下の場合に適用される制度)」から外れるラインは、現在も130万円のままです。ここを超えると、自分で社会保険料を納めることになります。

⚠️ 重要な注意点: 「103万円から178万円に壁が上がった」というニュースを聞いて、「じゃあ178万円まで自由に稼げる!」と思った方もいるかもしれません。しかし、所得税の壁が変わっても、社会保険料の壁(130万円など)は別の話です。壁の種類によって対象となるルールが違うため、「どの壁の話か」を確認することがとても大切です。

これらは国が決めているルールです。良い・悪いではなく、「今の制度はこうなっている」という仕組みをまずは知ることが、家計を守る第一歩になります。

年収の壁 まとめ図

「社会保険に入る」って、本当に損なの?

ここで、多くの方が誤解しやすいポイントをお話しします。

「壁を超えて社会保険に入ると手取りが減る」という話を聞いて、損をするように感じる方が多いのですが、実はそれだけではありません。

社会保険に自分で入ることのメリット:

  • 将来受け取れる年金が増える
  • 病気やケガで働けなくなった時の「傷病手当金(しょうびょうてあてきん:病気やケガで休んだ時に給与の一部を補填してくれる制度)」が受け取れる
  • 産休・育休中も給付金が受け取れる

一方でデメリットもあります:

  • 今すぐの手取りが減る
  • 配偶者の会社の「家族手当」が対象外になるケースがある

つまり、社会保険に入ることは「今損して、将来得をする」という側面があります。ただしこれも、家庭の状況によって全く見え方が変わります。


ミクロの視点:あなたの家計への影響

ここまで制度の基本をお話ししましたが、この壁があなたにどう影響するかは、ご家庭の状況によって千差万別です。

まず、以下のチェックリストを確認してみてください。

以下に1つでも当てはまる方は
手取りへの影響を一度確認した方がいいかもしれません。

□ パートで働いていて年収が130万円前後
□ 配偶者の扶養に入っている
□ 今年から働き方を変えた・変える予定がある
□ 社会保険に入るかどうか迷っている
□ 子どもの進学を控えていて家計を見直したい

1つでも当てはまった方は
LINEでご相談ください😊

「壁を超える」か「壁の手前で止まる」か

年収の壁について考えている

では、実際にどう働けばいいのでしょうか?「壁を超えてしっかり稼ぐほうがいいの?それとも、扶養内で抑えるのが一番?」と悩みますよね。

一般論としては、社会保険料を自分で支払うようになると、目先の手取りは減る可能性があります。一方で、社会保険(厚生年金など)に自分で入ることで、将来受け取れる年金が増えたり、万が一の時に手厚い補償が受けられたりするという大きなメリットもあります。

しかし、ここで一つ、とても大切なことをお伝えします。

**「同じ年収の人でも、ご家庭によって正解はまったく違う」**ということです。

配偶者の方の年収、お子さんの人数や年齢、住宅ローンの有無、そして将来どのような生活を送りたいか。これらが違えば、家計のバランスは大きく変わります。現場で相談を受けていても、「一般的にはこう言われているけれど、あなたのご家庭の場合は、別の選択肢の方が安心かもしれませんね」というケースは非常に多いのです。


だからどうする?あなたが今日からできることは何でしょうか?

ここまで「年収の壁」の仕組みについてお話ししてきました。

大切なポイントは、「壁の仕組みは理解した。でも、自分の家計で今どう動くのがベストなのかは、全体を見ないとわからない」という点です。

インターネットで検索すればたくさんの情報が出てきますが、あなたの家族構成や、これからの夢や計画まで考慮した「正解」は、そこには載っていません。

今日からできる3つのステップ:

  1. お給料明細をもう一度見てみる: 何がいくら引かれているかを確認する
  2. 今の年収を把握する: 年収がどの「壁」の近くにいるかを確認する
  3. 家計全体のバランスを専門家と確認する: 一人で悩まず、LINEでご相談ください😊

【編集部より:年収の壁が気になった方へ】

「自分の場合、壁を超えた方がいいの?それとも超えない方がいいの?」

その答えは、あなたの家族構成・配偶者の収入・住宅ローンの状況によって全く変わります。

FUSUMALAB.(福岡住研究所)では、家計全体を見ながら「あなたにとっての正解」を一緒に考えます。

まずはLINEで「年収の壁」とメッセージを送ってください😊


【この記事の執筆・監修】 川内秀敏(立地防災アドバイザー・宅建士・FP2級・法政大学地理学科在学中) 不動産業25年。宗像・福津・古賀エリア専門。 福岡住研究所(FUSUMALAB.)代表


【免責事項】 本記事の情報は執筆時点のものです。税制・社会保険制度は今後変更される可能性があります。個別の判断については、必ず専門家にご相談ください。当事務所は掲載情報の正確性を保証するものではありません。


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